
新規上場後のIPO銘柄のうち、初値を付けてから上昇する銘柄に偏りはあるのでしょうか?
2011年から2021年までの新規上場銘柄800件の情報を分析して導き出された結果とは・・・。
結論から申し上げますと、人気の銘柄ほど上昇しやすい傾向にあるという結果が出ました。
■証拠(検証結果)


検証結果のページでは、公募価格から2倍以上の銘柄で、翌日以降に寄った銘柄201件のデータを掲載しています。
そのパフォーマンスは、全銘柄の平均値が0.72%であるのに対して、平均値は5.08%と、1銘柄当たりの期待値は5%を超える結果になりました。
2021年は、マザーズ指数が下落し続けた1年であり、公募割れした銘柄が123件の新規上場件数に対し20件と、地合いはとても悪かったです。
そんな2021年度でも、上記の条件12件( 公募価格から2倍以上の銘柄で、翌日以降に寄った銘柄 )の平均期待値は5.06%で、地合いの悪い2021年でもロジックの優位性は確認できました。
2021年に絞ってさらに詳しく検証してみました。
単純に、初値が公募価格から2倍以上の銘柄数は27件ですが、その期待値は0.99%と低下しました。
初値が高騰した銘柄というだけではダメなのでしょうか?
なぜこの様な結果になるのでしょうか?
IPO銘柄は上場初日から一般信用取引が可能となります。
上場初日に初値が付かなかった場合、即日預託の規制が入る場合があります。
即日預託とは、「現物取引のみ」かつ「出金余力」の範囲のみトレードが可能となる規制のことです。
つまり、上場初日に初値が付かない人気銘柄は、その翌日は信用買いが出来ないことを意味します。
この結果、信用取引等で短期トレードを行うデイトレーダーの数が抑制され、株価高騰が抑えられて初値が付きやすくなります。
このことがなぜ株価上昇につながるのか、さらに深堀りしてみましょう。
まず、信用買いするトレーダーは、短期売買目的の投資家です。
つまり、初日に信用買いする人の多くが、数日以内に反対売買を行います。
これが初値を付けた後の売り圧力につながるという仮説が成り立ちます。
また、信用買いした人たちを儲けさせない為に売り圧力が加わるということも考えられます。
いずれにしても上場初日に初値が付いた銘柄より、翌日以降に寄った銘柄(即日預託規制の銘柄)の方が、短期的に上昇しやすいというのがデータからはっきりと見て取れます。
まさやんのIPOセカンダリー投資分析では、計測期間は 「初値から翌営業日の寄付」と 「初値から7営業日後の終値」と「初値から35営業日後の終値 」の3パターンで集計比較できます。
ちなみに、初値が高騰した銘柄は、長期的には下がりやすいという結果が出ています。
■証拠(初値が公募価格から2倍以上の銘柄の35営業日の株価推移)


35日後の株価の結果については、ブログ記事『勝てるIPOセカンダリ投資法 その2』『勝てるIPOセカンダリ投資法 その3』をご覧ください。
IPOで値嵩株に突撃することは非常に勇気がいりますが、過去検証の結果を信じてトレードを行うことは、勝つための必須条件ではないでしょうか。
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